「日本の景気を考える」(シリーズ第2回)

― 多くの国民、民間企業は見えない将来不安に備える ―

     青山 未来

    (ASPEL 生産工学研究所)

政府や官僚、日銀の皆さんが計算する程、個人消費や民間企業の投資拡大はその必然性をもって進んでこないのです。

法人税減税、社員のベア、企業の内部留保拡大から投資へと、だからその金を景気を良くすることに使うだろうというのは余りにも単純で現実に合わない思惑なのでないでしょうか。

国民もまた規模の大小を問わず民間企業も不透明な将来、脆弱な社会保障、競争力低下、付加価値創出力の低下、ニーズのない不要な投資等々、今の日本は不安が拡大し豊かさがなくなりつつあります。

それはあたかも身を守ろうとする貝に似ています。危険や不安を察知し殻を固くとざしてしまうのです。それでも無理矢理、殻を開け身を食べようとする敵がいます。あたかも消費税をはじめとする多くの増税に似ているように思えてならないのです。強者、弱者その格差の拡大はまだまだ進行します。

最近、そして大手の民間企業で発生している問題等や海外企業とのM&A,株価を見てもその現状は決して楽ではありません。GDPの指数も同様です。

これら総合的な国力の低下は経済の好循環に逆行してゆくことになります。また解決策として政府や地方自治をあずかる人がよく言われる行政改革は論ずるまでもなく景気高揚の基本的な前提条件ではあっても、その進展すら全くありません。多くの中小企業経営者や社会的弱者と呼ばれる人々から「あきらめ」にも似た声が多くなってきたとともに社会不安も増加しております。

真の政治システムの在り方、行政改革が進まないのには多くの問題(人間のあらゆる欲求や精神の荒廃等)がその根底にあり、その真因にメスが入らなければ、経済成長は今の様に言葉だけのものになります。

「身を切る改革」とか、ここちよい一見国民受けすると思われるキャッチフレーズだけでは何ら解決策は見えてこないのです。私の一方的な感想かとも思いますが、政治家(国、地方)や地方自治に携わる組織は常に改革、改善、維持を持続しなければならないことであり一時的な取り組みではありません。

以前、個人消費の増大に伴い金持ち高齢者の預金や財産に言及した多くの政治家の方々については何故こんな発想がでるのか、ずいぶん情けない貧しい考え方をされるのか、よく理解できませんでした。

景気回復、経済成長は社会保障、税制、災害や環境問題など多くの内容と切り離して考えることはできません。

国民生活の「安全」「安定」「安心」が保障される平等なしかも差別もない基本的人権が守られる社会構造の構築が前提条件であるということは言うまでもありません。古い言葉ですが、本当に「日本沈没」が来ないことを祈りつつシリーズ2回目とします。次回は経済成長の条件や方策,プロセスについてもお話しできればと存じます。

(以上)

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